2009年03月01日
囲炉裏の炉縁

土間に囲炉裏を作りたいからと、炉縁の甲板(天板)の製作を依頼されました。
予算を抑えるために樹種はお任せ、虫食いや変色、腐食も実用上の支障が無ければOKと、木のことをよく知った依頼主様です。
建築士さんですから、当然といえば当然ですが。
選んだ樹種はセンノキ。
変色したところがありましたが、着色するとちょうどよい色合いになるのでかえって好都合でした。
虫食いは、念のために穴の中に殺虫剤を吹き付けて、さらにその上から木粉を練って埋めます。
継ぎ手は、これも予算を抑えて十分な強度も確保するということでビスケットジョイントです。
耳つき材なので圧着のためのクランプが難しいのですが、切り落とした耳つき材を当て木に使って、傷がつかないように工夫します。
一箇所につき4個のビスケットを挿入してあるので、強度としては十分なはずです。
囲炉裏の炉縁は熱を受けて変形しやすいので複雑な継ぎ手を駆使することが多いのですが、今回は薪を燃やすのではなく炭に限定しているということなので、熱の影響はほとんど受けないと思われます。
継ぎ手の意匠にも地方の風習によって違いがあるのですが、今回の依頼は炉縁というよりもテーブルとしての機能を重視しているので、建具の基本である「長手を通す」木取りにしました。
四方を木で囲む建具は、短い部材と長い部材で構成する場合、長いもので小さいものを挟み込むことをよしとする、日本古来の木工の口伝です。
木工には、独学で独創的な作品を作り上げる人もいますが、日本における千年以上の木工の歴史に培われた「基本」には、重要な意味が込められていると思うので、工房楽木では古来からの口伝を大事にしています。
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